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読書会 『結婚がヤバい』を読む

 『結婚がヤバい』を読む。 久しぶりに読書会を企画しました。 今回は 「結婚がヤバイ」(宗像充著 社会評論社) を取り上げます。 内容紹介 ーー  「こんな法律や社会制度の中で、好きな人と結婚して子どもを作るなんて苦行だな」結婚する人の割合が減っている。子どもの数も減っていてそもそも町で見かけることが少ない。若い人は結婚に憧れを抱くことはなく、家庭を持ちたいとは思わないのだろうか。実際は、結婚して家庭を持ちたいと思っても、あまりにもぜいたく品になりすぎて、若い人たちにはリスクも高すぎるし、生半可な気持ちでは手が出せないのではないだろうか。かといって、結婚以外の方法で家族関係を維持することに社会の理解もない。しかし結婚は今もってステータス(称号)であり続けている。結婚、離婚を経験して共同親権を求めて発言してきた著者が、これから結婚を考えている人たちに、現在の結婚とそれをめぐる法と制度の矛盾を解説し、これからの家族と社会のあり方を模索する。 目次 Ⅰ いまの結婚はぜいたく品? Ⅱ ゼクシィ見るより民法読め 高すぎる養育障壁はなぜ残った Ⅲ 子育て家庭倍増計画 Ⅳ 結婚って何だろう?   宗像充さんは、長野県在住のフリーライター。子どもと引き離された体験から共同親権運動を開始、2019年に「共同親権集団訴訟」を提起して国を訴えている原告の1人。 詳しくはホームページを参照してください。 https://munakatami.com/ 企画内容 共同親権の制度化に向けて、法制審議会での議論が続いています。共同親権をめぐるパブリックコメントも行われました。しかし、いつになったら、共同親権が制度化されるのか不透明です。 SNSなどでも、さまざまな立場から、意見交換がされています。政治状況の変化が激しく、その動きについて行くのは難しい。 共同親権については、さまざまな立場からの意見があります。 実子連れ去りの被害者。共同親権を推進する政治家。国家賠償請求訴訟の原告。関係する弁護士。共同親権に反対しているNPO代表、知識人。共同親権に反対の記事ばかり書く新聞記者。共同親権の必要性に気づいた弁護士。などなど。 列挙すると、それだけで、ひとつの曼荼羅ができあがる。壮大な意見対立の風景があります。 そういう対立は、いったん脇に置いて、考える場をつくっていきたい。 共同親権研究会はそう考え

読書メモ『結婚がヤバい』(宗像充 著)

 「結婚って一生おごり続けることでしょ」 本書はこの一文から始まる。  著者の宗像充の知人女性の息子が、結婚について、「男が女に一生おごり続ける関係なの?」と問いかけたという。  日本では、晩婚と未婚がありふれたものとなり、結婚しない、子どもを産み育てない若者が、ごく普通に増えている。この流れが止まらないならば、日本社会が正常に機能しなくなっていく、経済発展は見込めなくなる。そういう危機感から、政治家は少子化対策を議論し、予算を付けて動き出している。マスメディアも、その動きを細かく報道するようになった。  しかし、大人たちは「結婚って一生おごり続けることでしょ?」という1人の男の子の疑問に対して、納得できる答えを用意できていない。  この男の子の疑問のあとに、読み手が男ならば、次の疑問が湧き上がってくるだろう。  「男の子の言うとおりだ。男が女におごるばかりで、フェアではない。なぜ?」  読み手が女ならば、こうだろう 「女は男性よりも低賃金だし、出産育児をするのだから、男性よりもハンディキャップがある。男性から経済的な保護(おごられること)は必要でしょ?」  男と女の結婚について求める「何か」が違う。だから未婚、晩婚、少子化が続く。  しかし、そんな男女のすれ違いが、結婚を忌避する若者が増えた理由とするには不十分だろう。  宗像は、2007年に当時のパートナー女性に実の子どもを連れ去られた当事者であり、被害者である。そして、共同親権をもとめる国家賠償請求の原告だ。「子どもの連れ去り」を社会問題として訴えてきたパイオニアのひとりである。  したがって、本書は社会運動の当事者の文章として政治的な文書である。しかし、それをもって本書の価値が下がると考えるのは早計だ。  宗像は、事実婚のパートナーに子どもを連れ去られ、会えなくなった。宗像と会わせないために弁護士が雇われて、面会を阻止されている。その元パートナーは別の男性と結婚し、宗像の子どもは、その男性の養子になった。  宗像はパートナーと別れただけで、子どもと法的に完全に他人にさせられてしまったのである。子どもに会う権利、など基本的な人権はなにもない。実の子どもが、養子縁組されても、それは相談されないし報告する法的義務はない。  これらはすべて日本では合法である。  主要先進国では、「child abduction 実子